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2014年10月27日 (月)

『赤瀬川さん、ありがとうございました』

赤瀬川原平さんがお亡くなりになられました。ここ何年か、体調があまり良くないらしいという噂を聞いていたので心配しておりました。残念でなりません。

片手袋は幼少の頃から気になっていたのですが、赤瀬川さんの著作に出会い、遡って考現学などを知り、「そう言えば俺が昔から好きだった片手袋。あれも路上観察、考現学的アプローチで研究できるんじゃないか?」と思い、約十年前から本格的に始動したのです。

赤瀬川さんの何が凄かったか?その活動、影響は多岐に渡っている為、簡単には説明出来ません。しかしいつだって赤瀬川さんの「視点・視線」は我々にフレッシュな驚きを与えてくれました。

芸術、お金、資本主義、路上、老い…。我々が当たり前のように見て、触れている筈のものでも、赤瀬川さんの「視点・視線」を通過すると全く違う側面が浮き上がってくる。その「視点・視線」を共有する、という事は「世界の見方」が変わるという事ですから、「赤瀬川さんに人生を変えられた」と語る人が多いのは当然です。

僕は赤瀬川さんに関して後悔していることが二つあります。

一つは、大学の卒業論文。僕は『赤瀬川原平論~路上への視点~』というテーマで書いたのですが、たとえ駄目でも本人に取材の申し込みをしておけば良かった、という事。何しろ僕の大学は赤瀬川さんのニラハウスの目と鼻の先にあったのです。若くてそこまで踏み込めなかった、いや、若いからこそ無鉄砲にトライしてみるべきだった。とても後悔してます。

二つ目は、片手袋活動。当ブログなど緩やかに綴っていましたが、基本的には一生個人的な趣味でも良い、と思ってました。でも数年前に近しい人が急逝してしまった時に、「生きているうちに出来る事はやっておくべきだな」と思い、片手袋研究を何か形にしたい、と考えました。

そしてある程度研究成果もまとまってきた頃、冒頭にも書いた赤瀬川さんの体調の事を知ったのです。「片手袋研究を本にまとめて、是非見てもらいたい」。僕は具体的に出版が出来ないか動いてみました。しかし、やはり僕自身に何か実績がある訳でもなく、中々上手くいきません。「それなら何か実績となるようなことをやってみよう!」。実は神戸ビエンナーレに応募したきっかけはそんな所にあったのです。

幸い神戸ビエンナーレで展示が出来る事になり、その流れで以前では考えられないようなお話も幾つか頂きました。「そろそろ出版に向けてもう一度動いてみよう」。そんな矢先に赤瀬川さんは逝ってしまいました。

片手袋に限らず、世界の見方・面白がり方・表現の仕方、全てにおいて影響を与えてくれた人です。本当に本当に悲しいですが、赤瀬川さんがいなくなっても「視点・視線」が消える事はありません。この「視点・視線」でこれからも片手袋を、世界を楽しんでいこうと思います。

どれだけ思いが深くても、言葉にした瞬間にその思いは軽くなっていくような気がするのですが…。赤瀬川さん、本当に本当にありがとうございました。

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『全面自供!』:自伝的対談集。多岐に渡る赤瀬川さんの活動を一冊で把握できる本。

・『赤瀬川原平の芸術原論1960年代から現在まで』:名古屋以来、久しぶりの大型回顧展。すごく楽しみにしていたのですが、まさかこんなタイミングになるとは…。千葉市美術館にて。必見です。

・『尾辻克彦×赤瀬川原平-文学と美術の多面体-』:小説家としての顔、尾辻克彦も超重要。小説はどれもすごく面白いですよ。町田で尾辻克彦に迫る企画展開催中。

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コメント

ああ、この記事を読んで解りました。
ラクダさんの想い。
探求心とか、言い換えれば面白がる心。
そんな事を感じる。
幾つになっても、無くしたくないです。

投稿: コロ助 | 2014年10月28日 (火) 23時21分

僕にとって、本当に本当に大事な人でした。赤瀬川さんがいなかったら、片手袋研究は今の形になっていなかったと思います。

本当に幾つになっても様々な事を面白がれる人間でありたいと思います。

投稿: 管理人 | 2014年10月29日 (水) 23時50分

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